古谷実
わにとかげぎすが完結しました。
- 作者: 古谷実
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/07/06
- メディア: コミック
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キャラクターは素晴らしいのに、物語として消化されていない
と感じました。
主人公を含めてキャラクターの一人一人は面白いのに、
それが話として絡んでいない?気がします。
個性の強いキャラクターが出ては短編の話を作って一旦そこで
完結する。次に新しいキャラクターが出てはまた話を作る・・・
それの繰り返しです。
最初の方に命を救った浮浪者のオッサンが
『この恩は必ず返す』
みたいなことを言ってそれから出てきませんでした。
警備員の仕事仲間の二人のうち、金持って逃げた方もそのままです。
ただ恋人の羽田が一貫して出てくるので、
このマンガは羽田とのラブストーリーだったということでしょうか。
それだとしても物足りない。
やっぱり羽田が主人公を好きになる理由が足りない気がします。
自分の言うことを100%聞いてくれるペットがほしいから
なのでしょうか。
それでももう少しマシなヤツを好きになりますし、
作家志望で嗜好が変わってるとしても、変わりすぎです。
そしてラストは羽田が作家として成功して、主人公は羽田と
結婚してめでたし、めでたしと・・
なんかエロゲーみたいですw。
私が主人公に嫉妬しているだけかもしれませんが、
こんな美味しい話で落ち着いてしまって残念です。
ラストの方で主人公と羽田が別れかけ、主人公が仕事を失い、
家も失い、絶望のド真ん中で
『自分を変える冒険が終わった。
美人とセックスできたのだから良いじゃないか』
と自問するシーンがあります。
まるで深海魚のわにとかげぎすが、きまぐれで日が当たるところに
行こうとした様を言っているようです。
個人的にはこのシーンが長かった方が楽しかったです。
この苦しみを耐え抜いていい方向に進む展開を希望していたの
ですが、あっさり羽田が現れて、あっさり助けてくれます。
ここで命を助けた浮浪者が出てくるとか、逃走中の元仕事仲間が
出てくる展開を期待していただけに、残念です。
このマンガは名作になれる可能性がありました。
古谷実は疲れたのだろうか。